2012年の10枚!!(いまさら)


ずっと書こうと思っていたのですが、2013年上半期が終わろうとしている今、2012年の名盤10枚を特集します!!
順番はつけません。すばらしかった10枚を紹介します。試聴もできるものはiTunesなどのリンクを貼るのでぜひ。画像は全てamazonへのリンクです。

じゃ、さっそく。

・東京LIFE(岩崎愛) (iTunes)
 
バンドマンの兄(セカイイチの岩崎慧)を持つ大阪のシンガーソングライター岩崎愛さん。
彼女の声を聴いて感動したASIAN KUNG-FU GENERARIONのゴッチの後押しでゴッチのレーベルから全国リリースされました。
そんなわけなのでとにかく歌声が素敵です。メロディも素晴らしい。
なんとも、ゆったり、肩の力を抜きながら効くことができる日常に寄り添うアルバムです。
アコースティックな曲からバンド編成の曲まで、幅広く、そのすべてで彼女の歌声を堪能出来ます。
[明日死んだら今日という日が君といられる最終日[「死ぬまで一緒にいてよ、僕と死ぬまで一緒にいてよ 満たされるまで一緒にいてよ ゆっくりゆっくりでいいから]という「死ぬまで一緒」が素敵。たまらない。


・Alternative(音速ライン) (iTunes)

福島県いわき市出身、現在は福島県郡山市に住みながら曲を作っているギターヴォーカルの藤井さん。
音速ラインといえば程良い女々しさのようなものがあってそこで好き嫌いが会ったような気がしますが、このアルバムは非常に力強い新しい音速ラインとなっています。
と、いうのも
[ああ 戻れない 戻れない あの頃の僕達には](Birthday)
[イカサマだらけの世界にさよなら 何食わぬ顔で笑ってるあなたは誰? 見せかけだらけで怠慢だらけの 口先だらけのイライラの元](ピカソ先輩とダリ師匠)
[帰りたくても帰れない きっとまた会える日が来るよ  戻りたくても戻れない きっとまた会える日が来るよ  また明日](ランドリー)
という歌詞から見られるように、彼は明確に3.11以降の福島から、叫んでいる。
音速ラインらしい跳ねのリズムに乗せながら強いメッセージをこめて歌っているアルバムです。でも青臭い歌も健在。

ラストを飾る「心のままに」は新しい音速ラインの名刺代わりとなるようななんだかほろりときてしまう温かい曲。今こころのままに君と生きていこう。(YouTube)


・ロックンロール イズ ノットデッド(DVD付き初回限定盤)  (iTunes)(YouTubeトレイラー)

[どれだけの悲しみがあったろうか 今僕に話してはくれないか]
この歌詞を聴くとき、いつも津波が街を襲っていった光景が浮かんでしまう。
表題曲「ロックン ロールイズ ノットデッド」を初めてROCKS TOKYOのライブで聴いたときはもう泣いて泣いて仕方なくて、でもサビではおもいっきり跳ねて叫んでいました。
生きてみたいから生きていみたい 死んで花実など咲くものかよ 強く願って明日を変えたい ロックンロールイズノットデッド!

 (DVD付き初回限定盤)と書いてありますが、通常版と比べて「I Love You & I Need You ふくしま」のサンボマスター版が収録、そしてLIVE福島の郡山版の映像を中心としてしっかり作られたDVDアルバムがついているんです。つまり完全版。「ふくしま」収録分の金額が福島県に寄付されます。LIVE福島の映像は福島の人たちの顔をとにかくクローズしている映像づくり。2011年、震災から半年の福島にもこんな日があったんだよ!
amazon残り2枚だってよ!急げ!

この限定版の
・とにかく弾ける!女性コーラスも最高!あの娘が好きすぎてたまらない彼女になんてできなくても「恋する季節」!!
・やさしいメロディーからバン!とあなたに叫ぶ、世界中にロックンロールを鳴らしてくれ!そいつを君に捧げるよ、それが僕の全て!!「ビューティフル」
・ふくしまで、ふくしまで、ふくしまで、君が素晴らしいってこと確かめさせて。明日から何かが始まるよ素敵なことだよ。「 I Love You & I Need You ふくしま 」
この3曲コンボがたまらなく胸に突き刺さって、たまらなく高揚して、たまらなく泣けてしまうのです。

3.11以降の音楽として、音速ラインとはまた別に非常に「光」が見えてくるアルバム。
「静かに光り続けるもの」のヒップな感じはたまらない!!
このアルバムは新幹線での兵庫出張の前日に買ったので行きの新幹線で初めて聴いていたのですが、それから数日このアルバムしか聴けませんでした。
ずっと聴いていけるアルバムだと思います。


・I'm yours!!(坂本美雨) (iTunes)

大好きな人へのラブレターとして、声が美しすぎる歌う猫吸い妖怪:坂本美雨さんがつくったラブレターアルバム:ラブバム。
[世界の距離はあなたとの距離で 側に行くたび 広くなる どれくらい好きになれるの 今日は昨日より好きです](あなたと私の間にあるもの全て愛と呼ぶ)
という歌詞はもう発明レベルだと思う!!

エレクトリックを中心としたトラックに美しい歌声が美しい言葉で乗っかっているのは聴いていて心地良い。そこに無機質さはありません。
リードトラックの「I'm yours」にはKREVAが参加。いい声してるんですね、KREVA。MVのKREVAさんの扱いにも注目です。(YouTube)

とにかく「好き」があふれた一枚、好きな人がいる人すべてにおすすめです。


・これからのこと(ユメオチ) (YouTubeダイジェスト)

昨年のレコメンド夏でも紹介したユメオチ。
かわいい声の女性ヴォーカルとペダルスティールをがっつり取り入れた独特のポップミュージックの新星!でした。メンバーそれぞれの活動が活発化してきたので9月に解散してしまいます。ざんねん。
一年中、どんな時間でも、どんなときでもアルバムとして通しで聴ける傑作。バンドの良い雰囲気が音楽から伝わってくるのが唯一無二です。

ギターのユキさんはすぐ近くに住んでいるようでツイッターで近所のおいしいパン屋さんを教えてくれました。会社の昼休みとか会社終わってからよく行きます。武蔵小杉のmetier、武蔵中原のラルブルアパンおすすめです。(脱線)
「悲しみよこんにちわ」(YouTube)、惚れますよ、このバンドに。
「ピクニック」の可愛い感じ楽しい感じとかすごい好きです。うーーーーーーーーわお!!


・Roots & Routes(GOING UNDER GROUND) (iTunes)

キーボード脱退後の2枚目、しっかり力をつけてきたGOINGが傑作をぶつけてきた!!
ドラクエ的RPGを意識したという旅立ちのメロディのようなピコピコなインストから始まり、
[ダサかったスニーカー 情けない自分さえ ネタにして笑ってくれた あんなにも誰かを好きになることは これからの僕にあるのかな](Roots)
というようなGOING節全開の曲が続きます。30を超えて子供がいる今でもこういう歌詞が嘘っぽくなく歌えるのは彼ならでは。

土曜に終電で新宿に出てきて朝までロックDJイベントで遊んでいた頃を歌った「1998 ~土曜日の夜と日曜日の朝~」、そこからRAM RIDERのトラックによる盛大な悪フザケ「ナカザのディスコ★」(ライブではこの曲のためにペンライトがグッズとして登場しました)、クラブでの一夜限りの輝きを歌った「刹那」という何気にストーリーがある流れだけでもGOINGのいろんな顔が見れます。

GOINGにはメインヴォーカルの松本素生の他にも女性のような高音で歌うギターのナカザ、少年のような脆さを持ったドラムの丈さんというそれぞれ個性的な歌声をもったヴォーカリストがいるのですがそれらすべてを堪能することができます。ツインヴォーカル掛け合いの「9th Route」なんか声がたまらない。
[この道の果てまで行こう 体ごと萌えるような夕陽に捧げよう](9th Route)

とにかく良質の、中堅ならではのバンドサウンド。
最近のバンド、声があまり特徴的でなくてつまんない!とか激しく踊るばっかりのロックンロールにはつかれた!という方にもオススメです!


・楽しいね(神聖かまってちゃん) (iTunes)

いろんな迷惑情報だけが先行していて名前を聞いただけで一歩引かれるお騒がせバンドですが、その実態はなんだか切ないピアノの旋律となんといえばいいか、肉体?体温?を感じるヴォコーダーを駆使した独特のバンド演奏に、全力での子が想いを歌う、叫ぶ、音楽が好きな人達のバンドです。
大好きなチーナのヴァイオリンの柴さんもサポートで数曲参加し世界観がさらにパワーアップしています。
「仲間を探したい」はそんな神聖かまってちゃんの真骨頂。切実な歌詞と演奏が美しい。(YouTube MV)

まあそんなことを歌った次に
[えっまじ!?まじ!?うっそでしょー!?休み時間によくある景色 えっまじ!?そんなことが言えた時 おともだちってやつがいるのかな!?](友達なんていらない死ね)
とか
[咲いた花で枯れてリスカ ちょこちょこ切るこの小動物 小さすぎる君はリスか 死にたいって嘘じゃないんだよ](花ちゃんはリスかっ!)
なんて歌っているのでぜんぜん丸くはなっていないんでご安心を!!!
いや、まだこんな曲が作れたことが正直すげえと思っている。
てか、「花ちゃんはリスかっ!」とかダダダッ!ダダダッ!ってガンガンくる感じ、とてもかっこいいと思います。
また、友達なんて~のリンク貼ってるやつのライブは昨年観た中でベストライブだと思っています。美しいライブでした。(最後の子全裸ギターだったけど)

[ほうきにまたがるあの子は地上が嫌なんだろうな](ベルセウスの空)
という作詞センスはあいかわらず面白いし
「らんっ!」の
[走らせるよ 僕の足を 加速させる ランナーは 大会に向けて 走ることをやめることを できやしない ランナーじゃ 走るだけさ]
というランナーに例えた決意の曲、後半BPMが上がっていくのとかものすごく胸が熱くなる。

鬱屈なエネルギーを音楽に昇華させています。嫌いな人は嫌いだろうけど、聞かず嫌いはよくないよ。鬱屈なあなたに。笑


・My Lost City(cero) (iTunes)

基本的なバンドサウンドのみでなくスティール・パンやトランペット、印象的なキーボードを取り入れて、他にないようなコーラス重厚さなど音楽的にもにぎやかに。
ヴォーカルの声も素敵。
非常にいろんな要素が入った、東京のシティ・ポップの傑作!快作!と思います。

[そりゃ願わくば いつも笑顔で添い遂げたい でも!笑いを忘れた恋人たちには 新しい明日が見えているそう言うんだろう? なんでもいいさ、笑え!](スマイル)
というようにFISHMANSの引用なんかもあり。そう、FISHMANSとかbonobos好きは好きだろうなあと思います。
コーラスを使って幸福な音楽を鳴らしていたと思ったら逆再生を使って踊らせてくる「Contemporary Tokyo Cruise」には驚きました。
「さん!」とかかなりオススメです。


・TNB!(ザ・なつやすみバンド) (iTunes)

ユメオチとは違う形の素敵な女性ヴォーカルのポップミュージック。
ceroのスティール・パンとトランペットのDJシラフさんがメンバー、ユメオチのペダルスティールの宮下さんはサポートとしてこちらにも参加。
ここまでスティール・パン(スーパーマリオワールドみたいなティン♪ティン♪っていう音の楽器です)をトロピカルじゃない要素として表に出して来れるってすごい。
「君に添えて」のサビでのペダルスティールは気持ちを綱渡りさせる感じでたまらなく切ないです。
[泣いてるあなたの目に映る景色が 渇いた街を照らしますように  涙で咲いた 魂の花が 強い心を添えますように](君に添えて)

天気のいい日に外で聴くのに最適。良い音楽、ココにあります。


・ランドマーク(ASIAN KUNG-FU GENERATION) (iTunes)

アジカンから愛と皮肉をこめて。
チャットモンチーの橋本絵莉子(お母さんになります)をゲストに迎えたあいうえお順の歌詞でできた明るい曲「All right part2」から始まるも、2曲目からいきなり攻めてきます。
[骨抜きの言葉 呪文のように安全だ]というような皮肉たっぷりの「N2」すなわちNo Nukes。この曲、シングルのカップリングなのにシングルのリードのほうはこのアルバムに入ってません。なんと。

[XYZ足りねえ文字数が ABCに戻るしかねえか TPP知らねえで食えんのか CPZを見てるほうがいいか](AとZ)
 [散漫な輪になって 単純なことになって 賛成か 反対か それは何やってんの?  手と手を取り合って 123で追い出して 異端者はだーれだ?異端者はだーれだ?](それでは、また明日) (現代の人々そのままですね)
[右の手でペンに持って僕らは何を選んだ?紙クズの束になってそれなら誰の成果 震える鼓膜を持って僕らは誰を選んだ? 耳も目も手で塞いだんだもう何十年も](1980)(選挙に長年無関心だった自分たちを悔やんでもいるように聞こえる)

などなど、ほんとに皮肉たっぷりです。ヘンクツメガネオヤジと言われてもしかたないよ。
でもそれを明るいアレンジのダンスミュージックにしてぶつけてくるのがアジカン流なんだなぁと。
「AとZ」も「1980」もリズム隊がすごく楽しくてノリノリになれるからね。

じゃあそんな曲ばっかかというと3曲めの開放感のある「1.2.3.4.5.6. Baby」は歌詞がほとんど無いですがこんな曲がこんな位置にはいっているなんてこのアルバムは間違いなく傑作だと思わされました。そんなエネルギーにあふれた曲です。
踵で愛を打ち鳴らせ」はあの子を連れだして外に出よう!というとても素敵なまぶしい曲。おーるうぇいず!おーるうぇいず!
逆に皮肉じゃなくて石巻を歩いて思った「レールロード」や[いつかはこの空洞を埋めるように微笑みあいたいな]という「バイシクルレース」といった希望をこめた曲も入っています。

リライトしてーー!!なアジカンをイメージする人からするととても変わったと思うと思います。でも、確かに音楽的にもとても面白いものになっているし、震災前から六ヶ所村などを訪れていた「表現者」である彼自身が今歌いたいことは、これなのです。

ラストを飾る「アネモネの咲く春に」はこんな皮肉だらけ、震災というキーワードがつきまといまくりのアルバムを締めるにふさわしい、壮大な、ゴッチの気持ちが切実にこもったすばらしい曲になっています。



2012年は震災から1年が経って、いろんなミュージシャンが落ち着いて向き合った年でした。音速ラインも、サンボマスターも、アジカンも違う方法でアプローチしています。11枚目に候補として考えてたくるりも坩堝の電圧、Voltage of Melting Pot、逆翻訳するとメルとしている炉の電圧というタイトルのアルバムを出しました。
震災についていろいろと考えさせられます。

また、下北沢を中心としたポップミュージックもとても良い物がたくさんリリースされていたような気がします。こういうやさしい音楽が今の時代にもマッチするんだろうなぁと思います。自分が疲れてるのかもしれないけど。

そういうわけで豊作だった2012年。2013年もすでに名盤!といえるものがたくさん出ている!
変わらずCDショップにもぐりこんでいきますよ~

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