2016年上半期の5枚!

もう年末なのですが。滑り込みで上半期。
2016年上半期リリースのオススメCDをあつめております。
試聴はiTunesのリンクで。(最近素直に飛んでくれなくなったんすかね?)
画像を押せばamazonの購入ページに飛びます!

It's Me(岩崎愛)  (iTunes)


前作よりも女性らしさ(たくましさであったり不安定であったり毒であったり)
が増した、女性シンガーソングライターの初のフルアルバム。


リード曲M2「woman's Rib」は、それを象徴するような、タフに、時にあまったるく
生きる女性の歌。
「悲劇のヒロイン 涙止まらないわ ケーキ食べながら Somebody help♥」
などなど…なんかわかるわ…
演奏も、チャットモンチーのあっこびんや、ゲス極のちゃんMARIなど、
実力派の女性達によるものとなっています。
コーラスの声なんか、ゲスの極みでなじみある声。
シンセの音いいっすね!

ゴッチが一目ぼれして口説きに行ったという歌声は、そういったトゲのある中でも
違和感なく、表情豊かな女性の歌声としてすんなり入ってきて気持ち良い。
基本的にバンドアレンジですが、他の曲もプレイヤー陣が実力派揃いで、
あらゆる音一つ一つも楽しめるつくりになっています。
特にライブで馴染みのあったM8「どっぴんしゃーらー」はタブラ(ユザーン)と
ヴァイオリン(角谷直子さん)によってもともと不思議な明るさをまとっていた
楽曲がさらに愉快かつ奇妙なものに。
音もすんげえ良いっす。ゴッチレーベルすごい。


天声ジングル(相対性理論)(iTunes


3年ぶりの相対性理論フルアルバム。
M1「天地創造SOS」から、ドカドカと最新型宇宙船相対性理論が、
「これが今の私たちです」という顔をして向かって来る。
当初はインディーズサブカルチャーど真ん中という感じのバンドだったものの、
最近はハイファイ志向や、やたら坂本龍一界隈の実験的な世界の香りを
身にまとい、初期とはまた変わった形の異質さを放っているバンドだと思う。
しかし、まあそんな周囲の見方の変化とは関係なく、やくしまるえつこは
相変わらずの言葉遊びとキャッチーなメロで歌い遊んでいて、M2「ケルベロス」
はその真骨頂というか、すげえおもしろいです。
みんなが待ってた変な世界観の相対性理論の最新系。

という感じでM1,M2がずば抜けた印象のアルバムではあるのだけど、
「ヘイYO」とか言っちゃうM7「夏至」や、ソロワークからの逆輸入感もある
ループトラックが印象的なM11「FLASHBACK」など、後半も新たな顔が見える
楽曲が集まっていて、通しで楽しい。
やっぱり響きやリズムを楽しむバンドだとは思うのだけど、言葉遊びな歌詞も
ちょっと意味(物語)を持ち始めていたりします。

アップテンポな曲としては最後になるM9「とあるAround」はおなじみの響きが気持ちいい
歌詞とテレテレなギターの相対性理論サウンドを基盤にしながらもドライブ感が
印象的。後ろからドカドカと勢いづけているドラムと爽快感を演出するシンセの
ウワモノのおかげかも。ドラムによる後押しはアルバム全体を通して印象的。

得体が知れない風のバンドではあるけど、やっぱバンド全体でしっかり空気をつくる
生のライブ向きのバンドなんだよなあ、と思わされるアルバム。


メロディーズ(蓮沼執太)(iTunes


蓮沼周大フィル名義の「時が奏でる」から3年。
楽曲の気持ちよさはフィルの流れの先にありながらも、演奏形態にとらわれずに
さまざまなアプローチで、風化しないポップミュージックを完成させてくれました。
「シティポップ」というジャンルはいったいなんなんじゃという雰囲気が漂い始めて
きたところではありますが、生活に寄り添ってくれる音楽、街の中で気持ちよく聴ける
音楽こそが「シティポップ」なのではないだろうかと思ってしまったりします。

基本的には蓮沼さんのヴォーカルですが、前作以降楽曲提供や共演を行ってきた
坂本美雨さんやNegiccoといった他アーティストの参加も色とりどりな楽曲をさらに
鮮やかにしてくれています。M4「RAW TOWN」、美雨さんのコーラス気持ち良いです。


正直、男性ヴォーカルのポップスがこんなに気持ちよく聴けると思っていなかった。
どんな気分の時に聴いても、嫌にならないのは柔らかい歌声と綺麗なメロディー、
楽器の音たちのおかげなのだと思います。
今年、移動中に何聴こうか迷ったら選んでいた率No.1。まちがいない。


meets sparkjoy(南波志帆)(iTunes


ポニーキャニオンから、タワーレコード内に立ち上げた自主レーベル「sparkjoy records」
に移籍して、約4年ぶりにリリースされた待望のフルアルバム!
すばらしい作家たちによる楽曲と、その透き通った歌声がとても魅力的な歌手。
前作「乙女失格」が本当に素晴らしいアルバムだったのと、非常に待たされたことで期待が
ものすごく大きくなっていたのですが、今作は新たな作家たちによって新たな南波ちゃんの
魅力が引き出されています。



M1「Good Morning Sunshine」、楽団の楽しそうな雰囲気も伝わってくる非常に心地よいポップス!
音程の上り下がりが激しいメロディーも気持ちよく歌ってるなぁ~~!
今回のアルバムのバンマスでもあるTHE CHARM PARKさんがサウンドプロデュース。
リズムに、これまでの渋谷系延長の楽曲陣とは異なる魅力を感じます。

M5「Coffee Break」、M6「ミモザ」といった静かな楽曲での歌声の抑揚、感情の乗せ方も、
このアルバムの注目どころ。CHARMさんエッセンスの詰まった洋楽的なメロディーの上で
絶妙な力の入れ方で歌われていて、歌唱力の高さを実感します…弱いとこの歌い方最高…

M7「おとぎ話のように」は吉澤嘉代子さん作詞作曲。歌詞と、歌声、楽曲すべてがハイレベルな
ガールズポップの大名曲だと思います!
これまではエレクトロポップ主体でしたが、リラックスしたバンド感が気持ち良い楽曲が
集まった、南波志帆新たなスタートのアルバム。


ティー・フォー・スリー(Negicco)  (iTunes)


これ、ミュージックマガジンの今年のランキング、ベスト・スリーに入るよね??
(なんてことをこの記事を書き始めた11月にまず書いたのですが、ちゃんと入りました。2位!)
新潟出身、ネギをPRするために誕生したキャリア10年のアイドルによる、
すばらしすぎるガールズ・ポップの最高傑作。

ピチカートファイブ小西さんの渋谷系の味を受け継ぐconnieさんによる
作曲:アレンジを軸としながらも、さまざまなその線の作家
(シンバルズの矢野さんや、それこそ小西さんまで)を招き入れながら、
その"楽曲の質"でアイドルファンの枠を超えた広がりを見せてきていた
Negiccoが、世の中のシティーポップブームにストレートに今でしょ!
とベストなタイミングで投下した「ティー・フォー・スリー」。いやー最高です。
まず、冒頭3曲のブラック・ミュージックのエッセンス。
気持ちよくアルバムを聴き始めることができます。
M1「ねぇバーディア」はレキシのおじちゃんによる曲で、Earth, Wind & Fireの
有名すぎる「September」(バーディア~♪)、間奏の語りやリフも引用して
遊んだ後にレキシのおじちゃんが「あー!風とー!水とー!炎ー!」
って叫んでいるのに気づいたときは大爆笑した。("水"がたぶんEarth)
新潟の人は床の間に愛の兜(直江兼次)があって何気なくかぶるそうですよ。


一人だけやたら早く東京ついて満喫してるのが好き。
目前にしていた日比谷野音ワンマンを意識したつくりがいいっすねー


彼女たちは芸歴が長いということもあり、世の中でいう「アイドル」の年齢
としてはちょっと高いところにいるわけですが、だからこそ、大人びてきた
女性の歌詞を「アイドル」のフォーマットで歌える稀有な存在になっていると
思います。
堂島さんが歌詞を書いた「SNSをぶっとはせ」は昔の恋人の結婚をSNSで
知ってしまってなんかモヤモヤと意地を張ってしまう女性の歌ですが、
いかにもこのくらいの年齢になるとありがちかもだよね…
(こうやってほかの人、それこそ男性が主に書いた詩を歌うのだけど、
 それを女性が歌っている姿に違和感なく、すっと入ってくるという形が良い
 アイドルのいちばんおもしろいところだと思っています。一つのファンタジー
 みたいなもんだとおもうのですが)

今回、M6「江南宵唄」でKaedeさんの株が超急上昇。
英語くさい発音でするすると歌うのですが、それがちょっと特徴的だった
彼女の歌声に見事にハマっている。リズムもとても気持ちいい。

そして極め付けのM10「矛盾、はじめました」。
今こんな曲をアイドルでやっちゃうの!?最高!!
豪華な生バンドによる演奏!美しすぎる旋律!気持ち良い歌声!
歌声が一切なくなってからのアウトロだけでもお腹いっぱいになれる。
MVのダンスも素敵。
あらあら、もう頂点なんじゃないの、と思ってしまうので次の作品への期待が
恐ろしく高くなってしまいます。

三人の声の良さが際立つ「私へ」は今の日常の悩みにひっかかりながらも
強く前を向く曲。アルバムの最後を飾るこの曲を聴くと、まだまだ彼女たちは
前に進んでいける、応援していこうと思ってしまう。
そう思わせる彼女たちは紛れもないアイドルなんだろうな。
下半期はこちら

コメント